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沖藤 典子
(1961年学部卒業、ノンフィクション作家、日本文芸家協会会員)
2021年3月末、北海道大学文学部哲学科実験心理学教室を卒業して、丸60年になります。60年!長かったような、あっという間だったような。
この間、いろいろな方にお会いしました。お世話になり、教えられ、順風満帆とは言い難く、可もあり不可もある人生でしたが、さまざまな時期に、さまざまな出会いがありました。それらすべてが、私の人生の彩りとなっております。
その中でもとくに思い出深い出来事を「人生の絶景」とよんでいます。頂いたこの機会に、私の「絶景」の物語を書いてみました。ご笑覧いただければ幸いです。
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私の「絶景」の第一は、なんといっても心理学教室での先生や友人との出会いでした。卒業式の日、主任教授であった結城錦一先生からいわれたお言葉は、私の一生の道標になったものです。
「君たちは今日卒業したが、何様のつもりになってはいけない。大学での勉強は学問のほんのわずか、『学び方』を学んだだけに過ぎない。社会に出てから本当の勉強が始まる。心して生きていきなさい」
社会に出てからが本当の勉強・・・、胸の奥深くに沁み込んできたお言葉でした。
先生の箴言を大切にして生きてきたつもりですが、性本来の怠け者、どうもあれこれ手抜きが多く、思い残すこと多々です。しかしこのお言葉を頂いたことが、「人生の絶景」の第一景でした。はるか後年、先生にこのことを話しましたところ、「覚えていてくれたか」と大変喜ばれました。
卒業式の前に就職がありました。前年の秋の日、指導教授であった戸田正直先生から部屋に来るようにいわれて、恐る恐るお伺いしました。